動物園よもやま話/2001.02.18

北園飼育係の片柳雅之さん

みなさん、パオ君をご存じですか?

パオは、多摩動物公園で初めて生まれたアフリカゾウの子どもです。
もうすぐ3才になるパオは、現在、母親から離れて一人暮らしをしています。

昨年の6月にパオが母親のアイから分けられ、もう8ヶ月(2月現在)が過ぎようとしています。
この、親子の分離は、アイに次の子どもを期待すると共にパオと飼育係がこれからうまくつき合っていくために必要なことなのです。

母親から分けられた今、パオの親代わりは、我々飼育係がしなくてはいけません。
過去に親子分けを2回やっているのですが、失敗に終わりました。
理由は、パオの体調不良です。

なかなか、親代わりになれませんでしたが、ようやくパオも我々を頼りにするようになってきたのか、
3回目の親子分けは餌も十分な量を食べるようになり、夜もゆっくり寝るようになって私達をほっとさせてくれました。

さて、これからが問題です。

パオとうまく接して行くには、飼育係とつき合っていく上で必要なルールを学ばなくてはいけません。
パオは、体重約900sもあり、彼らの力で飼育係にじゃれつかれたりしたら、ひとたまりもありません。

そこで、バオの足にチェーンを着け動きを制限し、飼育係が安全に側に行けるように訓練を始めました。
最初はとても嫌がり抵抗をしました。この時ロープで後ろ足を固定するのですが、集まった飼育係かなんと20人!それでやっと押さえられました。
時として20人掛かりでも引きずられる事もありました。

現在ではそんな苦労も報われ、パオはチエーンにもなれて、飼育係の号令で足を上げ、チエーンの付け替えも難無く出来るようになりました。

チェーンで繋いだり、調教という形でパオに厳しく接したりすると、お客さんからかわいそうという言葉を良く聞くことがあります。
しかし、いざ病気や怪我をした時に触ることも出来ず、治療もすることの出来ない飼い方をしてる方か飼育係としてはつらい事なのです。
厳しく接していますが、将来きっと役に立つと信じてパオと共に猛特訓中です。