動物園よもやま話H

アフリカゾウ飼育係
『アフリカゾウに赤ちゃん誕生』

4月25目の22時20分、アフリカゾウに約100sのオスの赤ちゃんが生まれました。
赤ちゃんというより「黒く丸い大きな球」といった方がよいかも知れません。
お母さんは「アイ」という名前の推定16才です。
父親は「タマオ」で30才の体重7500sもある大きなゾウです。

ゾウの妊娠期聞は660日と大変な長さで、
1996年の7月の繁殖行動から私達は指折り数え挙がら、その目の来るのを待ちました。
しかし、出産を楽しみにしているばかりではいられません。
その準備には慎重を期さなげればなりませんでした。
母親「アイ」は大変なお転婆なゾウです。
そして初めての経験のために上手に子ゾウを産む事ができるか、お乳を与えられるか、
できない時にはどのような対応をしなければならないか、
と何度かの会議と資料の収集、そして産室の準備やら大変なものでした。

いよいよ出産予定日5日前からゾウ舎に泊まり込みが始まり、
関係者に連絡をし、出産の観察記録と大忙しでした。
しかし私達の心配とは反対にアイの出産は順調で、
20分後には元気な子ゾウが誕生しました。

ところでアイの子育ては野生そのものでした。
子どもの羊膜をはがすために足で蹴り、子ゾウを踏む行動は
呼吸を促す行為であったのです。
しかし、私達はその荒々しい「アイ」の行動に親子を分離しようとしたほどです。
子ゾウは30分後には立ち上がりました。
「立てば歩め」と手に汗を握りしめながら初乳を受げるのを待ちました。
3時間後に乳頭に吸い付いた姿に、私達は互いに手を握り喜び合ったのです。
健康に大きく成長してくれることを祈って。